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最高裁平成22年6月4日判決の調査官解説

 民事再生手続における所有権留保の取扱いに関する最高裁平成22年6月4日判決の調査官解説が,最高裁判所判例解説民事篇平成22年度(上)に掲載されています(同書376頁以下)。

 「本判決は,・・・個別の事案における契約解釈を踏まえたものであるものの,・・・留保所有権の行使に民事再生法45条の要件を要するとの判断を初めて示したもの」(同書390頁)と本判決の意義を述べつつ,本判決が売主の取得した留保所有権の被担保債権と信販会社の留保所有権の被担保債権が異なる点を指摘して代位構成を否定していることから,「仮に,当事者が代位による留保所有権の行使をすることができる旨の明文の規定が設けられたとしても,その効力は否定されるとの解釈になると思われる。」(同書387頁)との記載があります。

 この点については,福田修久「破産手続・民事再生手続における否認権等の法律問題」法曹時報64巻6号6頁にすでに指摘があった点で,本判決とは異なる契約の場合の参考になると思われます(同論文は,タイトルのとおり,破産手続で起きうる問題や,手続き終結後の問題についても検討されています)。