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保釈保証書発行事業と保釈支援協会

  いわゆる保釈保証書発行事業とは,全国弁護士協同組合連合会(全弁協)が運営を始めた制度で,従来機能してこなかった刑事訴訟法94条3項の「裁判所の適当と認める被告人以外の者の差し出した保証書」に相当する保証書を,全弁協が発行して,資金に乏しい被告人にも平等に保釈の機会を確保しようとするものです。

 手続きのおおまな流れは以下のとおりです。

① 担当の弁護人(全弁協の所属の弁護士。大半の弁護士が所属していると思います。)が,保証委託者(被告人の身元引受人)になってくれる人をさがし,「保釈保証書発行事前申込書」を各単位弁護士会協同組合に提出します。

 なお,⑴破産・個人再生の手続き中である方,⑵最近5年間に破産・個人再生の申立てをした方,⑶現在,訴訟・強制執行・仮差押・仮処分を受けている方,⑷制限行為能力者である方,⑸反社会的勢力と関わりがある方,⑹被告人の共犯者である方は,保証委託者になることはできません。

②(①の審査を経て,)「保釈保証委託契約申込書」を各単位弁護士会協同組合に提出します。

③ 保証料,自己負担金を全弁協の口座に振り込みます(保証料は保証金額の2パーセント,保証金額の10パーセントを自己負担金として預託すること,が条件となっています。)。

④ 全弁協が発行した保証書を裁判所へ提出します。 

 今後,刑事事件を扱う弁護士は,一般社団法人日本保釈支援協会も比較しながら,保釈活動をすることが求められると思います(同協会の視点で両者を比較した表はこちら)。