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役員報酬と損金算入

1 損金不算入の原則

 会社が役員に対して支給する給与(以下,「役員報酬」ともいいます。)は,租税回避防止の観点から,(会計学の考えからすると違和感がありますが,)伝統的に損金不算入が原則とされています。

2 損金算入ができる場合

 ⑴ 損金算入ができる役員報酬の類型として,①定期同額給与,②事前確定届出給与,③利益連動型給与が典型的に挙げられます。さらに,④退職給与に係る費用,⑤法令所定の要件を満たすストックオプションに係る費用,⑥使用人兼務役員に対して支給する使用人分の給与に係る費用も原則として,損金に算入することができます。

 ⑵ ただし,「不相当に高額な部分」として政令の定める金額については,損金の額に算入することはできないことになっています。例えば,法人税法施行令70条1号イは,実質基準として,⑴当該役員の職務内容,⑵当該会社の収益及びその使用人に対する給与の支払い状況,⑶同種の事業を営む法人で事業規模が類似するものの役員に対する給与の支給状況等を考慮し,当該役員の職務の対価として相当であると認められる金額を超える部分については,損金に算入できないとしています。

 以上のことは,弁護士法人にも当てはまります。