過失犯の共犯
明石歩道橋事件では,検討するべき実体法上,手続法上の問題が多岐にわたりますが,今回は,過失犯の共犯の議論を紹介します。
過失犯の共犯は,理論的にも,実際の適用についても非常に難しい問題を含んでいます。
学説上,古くは,いわゆる犯罪共同説の立場から過失の共犯を否定する立場が支配的でしたが,共犯は自己の犯罪遂行のための方法にすぎないとする行為共同説の立場から行為及び因果関係の共同が存在すれば過失による共犯が成立する余地を認めるべきであるとの主張がなされたところです。
また,共犯の処罰根拠を犯罪結果との因果性に求める因果的共犯論によると過失による共犯を認めることは理論的に可能ということになります。
具体的な事案に即した検討が必須になりますが,最近発表された,松宮教授の2本の論文(その1,その2)は,弁護士としても一読しておく価値があると思います。
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