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異時破産手続廃止

 弁護士として破産手続に関与する場合,異時破産手続廃止の手続に遭遇する場面がよくあります。

 伊藤眞先生の「破産法・民事再生法」〈第2版〉529ページには,『破産手続開始の後に,破産財団をもって破産手続の費用を支弁するのに足りないと裁判所が認めたときには,破産管財人の申立てまたは職権によって破産手続廃止の決定をしなければならない(破産法217条1項前段)。これを財団不足による廃止,事後廃止,または異時破産手続廃止と呼ぶ。』との記載があります。

 もっとも,実務では,破産手続開始決定にあたり,破産管財人の最低報酬額を含む破産手続費用につき,予納金として納付させる運用であることから(破産法22条1項),破産法217条1項の「破産手続の費用」には財団債権の総額を含むと解釈し,破産財団として形成された金銭で財団債権の総額を弁済するのに不足するときに,破産手続廃止決定をする運用をしており,これを異時破産手続廃止と呼んでいます。

 破産法217条3項は,上記のとおりの運用であることから,実際に適用される場面はないことになります。
 

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 同僚の弁護士と行きました。