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弁護人に証人の氏名・住居が開示されない場合~改正刑訴法299条の4第2項

 刑事訴訟法299条1項は,証人の尋問請求にあたり,検察官は相手方に対しあらかじめ氏名及び住居を知る機会を与えることを原則としています。

 協力を拒む証人に対しては従来は配慮を要請できるにとどまっていたところ(刑訴法299条の2),証人等の氏名・住居の開示について,開示しない条件を付す,あるいは開示の時期・方法を指定する権限を第一次的に検察官に与えることになっています。

 刑訴法299条の4第2項は,「・・・供述の証明力の判断に資するような被告人その他の関係者との利害関係の有無を確かめることができなくなる場合その他の被告人の防御に実質的な不利益を生じるおそれがある場合を除き,」代替措置として氏名に代わる呼称,住居に代わる連絡先を知らせることで,弁護人に対しても,氏名・住居を知る機会を与えないことができる旨規定しています。

 特別部会では,弁護人が暴力団組織に自体に雇われているような場合が想定されているようですが,異論もあるところです。

 非開示措置がなされた場合には,裁判所による裁定請求(刑訴法299条の5)をすることが求めれます。