認定司法書士の代理権について判断した最高裁平成28年6月27日第一小法廷判決の担当調査官の解説
ジュリスト1498号119頁に,認定司法書士の代理権について判断した最高裁平成28年6月27日判決の担当調査官の解説が掲載されています。
最高裁が貸付金元本を基準にしているところ,貸金業者が約定利率により貸付金元本を主張する場合と,利息制限法所定の制限利率に引き直した貸付金元本を主張する場合かによって結論が変わり得るような記載があります。この問題は,最近貸金業者が遅延損害金利率による計算を主張してくることから,実務上は問題になりそうです。最高裁は,相談時及び事件受任時において客観的に定まりやすく基準として明確であることを根拠に,いわゆる債権額説及び個別説を採用したようですが,少なくとも受任通知発送時には,明確にならない事案も想定されることになります。
なお,同号の123頁以下では,「債務者から,認定司法書士に支払った報酬等の返還訴訟が提起されるのではないか」という問題について,「受益額説」は過払金が発生している取引の場合に主張されている見解ではないこと,そのような場合(貸金残債務が存在する取引)の報酬額は通常僅少であり費用対効果の点で訴訟提起は考えにくいこと,等を理由にその種の訴訟についての見通し(牽制?)がされています。
弁護士も司法書士も確認しておくべき解説です。
- 次の記事へ:平成28年司法試験考査委員名簿(平成28年7月4日現在)
- 前の記事へ:『社告好事例集』