名古屋市の弁護士 森田清則(愛知県弁護士会)トップ >> 刑事 >>  刑訴法17条1項2号にいう「裁判の公平を維持することができない虞があるとき」に当たらないとされた事例(最高裁平成28年8月1日)

 刑訴法17条1項2号にいう「裁判の公平を維持することができない虞があるとき」に当たらないとされた事例(最高裁平成28年8月1日)

 最高裁ホームページに掲載されています。

 主文は,「本件管轄移転の請求を棄却する。」です。

 裁判員制度について法廷意見は,「そもそも裁判員制度は,国民の視点や感覚と法曹の専門性との交流によって,相互の理解を深めることを通じてより良い刑事裁判の実現を目指すものである。そして,裁判員裁判対象事件を取り扱う裁判体は,公平性,中立性を確保できるよう配慮された手続の下に選任された裁判員と,身分保障の下,独立して職権を行使することが保障された裁判官とによって構成され,裁判員は,法令に従い公平誠実にその職務を行う義務を負っている上,裁判長は,裁判員がその職責を十分に果たすことができるように配慮しなければならないとされていることなども考慮すると,公平な裁判所における法と証拠に基づく適正な裁判が行われることが制度的に十分保障されているといえる」としています。

 千葉勝美裁判官の補足意見でも,裁判員制度について詳細に検討されています。