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租税回避の意義

 いわゆる「租税回避」は,脱税とも,節税とも異なるものと位置付けられています。

 金子宏先生は,「私法上の選択可能性を利用し,私的経済取引プロパーの見地からは合理的理由がないのに,通常用いられない法形式を選択することによって,結果的には意図した経済的目的ないし経済的成果を実現しながら,通常用いられる法形式に対応する課税要件の充足を免れ,もって税負担を減少させあるいは排除すること」と定義しています(金子宏『租税法(第21版)』125頁)。

 清永敬次先生は,「課税要件の充足を避けることによる租税負担の不当な軽減又は排除をいう。多くの場合,税法上通常なものと考えられている法形式(取引形式)を納税者が選択せず,これとは異なる法形式を選択することによって通常の法形式を選択した場合と基本的には同一の経済的効果ないし法的効果を達成しながら,通常の法形式に結びつけられている租税上の負担を軽減又は排除するという形をとる」と説明しています(清永敬次『税法(新装版)』42頁)。

 ファイナシャル・レビュー126号では,「BEPSと租税回避への対応」という特集が組まれています(社団法人日本経済団体連合会常務理事阿部泰久氏の『包括的租税回避否認規定創設に対する経済界の考え』という論文も掲載されています。)