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自動車運転過失における過失構造論

 木谷明編著『刑事事実認定の基本問題』の3版が出ていました(同書の初版を,修習生の頃に買って勉強した記憶があります)。

 植村幹男裁判官の「自動車運転過失の認定」という論文で,少なくともいわゆる自動車運転過失については,旧過失論ではなく,結果発生に対する具体的な予見可能性を要求する新過失論によっていると明確に指摘されています。

 同論文では,自動車工学についての基本的な解説のほか,認定上の注意点として,突如・瞬間的に生じるという交通事故の特性から関係者の認識内容や記憶内容の正確性に問題が生じうること,距離や速度に関する客観的・科学的な事実認定手法が重要であること,民事賠償との関係で被疑者・被告人に虚偽供述を述べる動機がより強くなりうること等の指摘があります。