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瀬木比呂志「絶望の裁判所」読了

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 瀬木比呂志著「絶望の裁判所」(講談社現代新書)を早速購入し,読みました。

 とくに以下のテーマについて書かれた部分が興味深かったです。

・ 最高裁判所事務総局を中心とする裁判所の細分化されたヒエラルキー

・ 裁判員制度導入と刑事裁判官の思惑

・ 女性学者最高裁判事任官の経緯についての分析

  全体を通して,学者でもあることを強調する著者が,裁判所ないしは裁判官に対する批判的な分析が続きますが,実名を明らかにしたり,ほぼ特定できるような記載も多くあります(54頁以下の「最高裁判事の性格類型分析」,174頁以下の「裁判官の精神構造の病理」などは,裁判官の人物像を考えるうえで参考になるかもしれません。)

 なお,著者が接したもっとも尊敬できた最高裁判事は,弁護士出身の大野正男氏だったとのことです。