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YouTubeとダウンロード刑事罰化

 著作権法119条3項は,いわゆる違法ダウンロードについての刑事罰を定めた規定です。

 同規定の基本的な考え方は,著作権法30条1項3号の違法ダウンロードすべてに罰則を定めるのではなく,音楽産業に与える影響が直接的であり,ユーザーが有償で入手できるにもかかわらず違法にアップロードされていることを知りながらダウンロードする場合に限定して罰則を規定しようとするものです。

 議論になっている点として,動画投稿サイトにおいて,権利者に無断で投稿された動画ファイルを受信して視聴する場合の同規定の適用の有無があります。

 まず,動画再生の方式が,いわゆるストリーミング方式であれば,ユーザーのパソコンにコンテンツのデータが保存されないので,条文の要件である「デジタル方式の録音又は録画」に該当しないので,適用はありません(犯罪は成立しない。)。

 他方で,YouTubeやニコニコ動画では,上記ストリーミング方式ではなく,いわゆるプログレッシブ・ダウンロード方式を採用していることから(プログレッシブ・ダウンロードでは,ユーザーのパソコンのキャッシュフォルダに,コンテンツのキャッシュデータが一時的に保存される),同規定の適用が肯定されてしまうという見解を主張する弁護士もいます(したがって,犯罪成立。)。

 これに対し,文化庁は,著作権法47条の8(電子計算機における著作物利用に伴う複製)の規定が適用されることにり,同規定の適用はない(したがって,犯罪不成立。)という考え方を公表しています。