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元東京高裁部総括判事の講演

 中弁連(中部弁護士会連合会)の夏季研修で,原田國男先生(元東京高裁部総括判事・現弁護士)の「刑事事件における事実認定」を受講しました。

 原田先生が扱った事件を主たる題材として,刑事裁判全般について,幅広く話をしていただきましたが,特に以下の指摘が重いと感じました。

 ・弁護士は,裁判官と比べて,「接見」という行為を通じて,被告人が無実であると確信を持ちやすい。 

 ・東京高裁在籍時に,多くの逆転無罪判決を出したが,このこと自体が,刑事手続きに非常に問題があることを示している(検察が有罪であると判断して起訴がなされ,一審裁判所が有罪との判断をしている。なお,無罪判決に対し,検察から上訴された事案はない。)。

 ・足利事件等客観的な証拠により無実が明らかになった事例がでており(重大事案),また,一般人がいつでも冤罪被害者になりうる(痴漢冤罪,それでもボクはやってない )一方で,裁判員裁判に関与することにより一般人が冤罪加害者になりうる。これらのことは,裁判の前提となる捜査の過程で証拠隠ぺい・捏造,自白強要等の事例の存在からするとより一層可能性が高まっている。

 ・再審無罪となったケースでは,裁判所(官)の自浄作用が期待できないとすれば,より効果的な検証方法を検討すべきである。

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名古屋城近くのウエスティンナゴヤキャッスルで行われました。