職業選択の自由と競業避止義務
弁護士業務で,いわゆる労働者の競業避止義務の合意の効力ないし効果が論点となる事件を扱うことが増えてきました。
労働者の利益として,憲法に定められた職業選択の自由が挙げられることが通常です。
しかしながら,よく考えてみると,職業選択の自由は,あくまで国家との関係で問題となるにすぎないはずです(それが憲法上の大原則です。)。
最近では,憲法の私人間効力論について,無適用説も有力に主張されているところです。
実務上は,三菱樹脂事件最高裁判決を前提に,私法の一般条項の適用の問題として処理されているものと思われます。