名古屋市の弁護士 森田清則(愛知県弁護士会)トップ >> >> 精神的不調者への対応

精神的不調者への対応

 最高裁平成24年4月27日判決(日本HP事件)は,精神的な不調のために欠勤を続けていると認められる労働者については,会社は休職等の処分を検討する等の手続きを経なければ諭旨退職の懲戒処分をとることはできない,と判示しました。

 精神的不調者ないしそれが疑われる場合には,安易な懲戒処分とりわけ懲戒解雇の適用は許されず,会社側に慎重な対応を求めるものといえます。

 会社としては,上記のような場合に,今後休職規定の活用を検討する場面が増加することになると思いますが,就業規則上,休職に期間と回数制限を設け,それを超える場合には解雇できるという規定になっているか,確認しておく必要があるでしょう。

 就業規則の変更が必要な場合には,「就業規則の不利益変更」に当たりますから,弁護士に相談することをすすめます。

 なお,厚生労働省が発表している「モデル就業規則」では,復職時に期間がリセットされ,休職事由となった事由が,再発すれば何度でも同じ期間休職制度を利用できるようになっているため,注意が必要です。