名古屋市の弁護士 森田清則(愛知県弁護士会)トップ >> >> パブリシティ権

パブリシティ権

 パブリシティ権とは,自己の氏名・肖像等の宣伝広告への無断使用や商品化等をコントロールする権利をいいます。

 問題になった有名なものとして,おニャン子クラブ事件,藤岡弘事件,中田英寿事件,ぺ・ヨンジュン来日特報事件,ギャロップレーサー事件(物のパブリシティ権を否定した),ブブカスペシャル7事件等があるようです。

 パブりシティ権の法的根拠を人格権に求める見解(人格権説)と,人格権とは別個独立した財産的権利とする見解(財産権説)とが対立しており,裁判例も分かれているところです。

 財産権説は,人の氏名や肖像には顧客誘引力があるから財産的価値があり,財産的価値があるから財産権があるという考え方です。

 しかし,知的財産権や特別の法律がない限りは,何らかの財産的価値にフリーライドしたことが直ちに違法とは一般には解されていないことからすると,妥当な考え方ではないという批判があります。

 例えば,ランドマークとなるような建造物(たとえばナゴヤドーム)等ができた場合や,大きな催事(たとえば名古屋ウィメンズマラソン)等が開催されたときに,何らかの恩恵を受けるないしは受けた人というのは想定でき,その人たちは,フリーライドをしたといえますが,その対価を支払わなければならないとは一般に考えられていません(以上について,田村善之「ライブ講義知的財産法」(弘文堂,2012)532P以下参照)。

 なお,ピンクレディー事件最高裁判決(最判平成24・2・2)は,「人の氏名,肖像等(以下,併せて「肖像等」という。)は,個人の人格の象徴であるから,当該個人は,人格権に由来するものとして,これをみだりに利用されない権利を有すると解される・・・。そして,肖像等は,商品の販売等を促進する顧客誘引力を有する場合があり,このような顧客誘引力を排他的に利用する権利(以下「パブリシティ権」という。)は,肖像等それ自体の商業的価値に基づくものであるから,上記の人格権に由来する権利の一内容を構成するものということができる」。と説いて,人格権説に立つことを明らかにしています。

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先月,東京スカイツリーの近くまで行ってきました。

恩恵を受けているところと,受けていないところがあるようです。