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債務免除,免責に伴う税金問題

 弁護士業務のうち,比較的多い案件として,個人の方の破産手続きの申立てがあります。

 一連の手続きの中で,個人である破産者が債務免除(債権者から個別に免除してもらうことがままあります。),免責を受けた場合,個人破産者に問題となる税金としては,贈与税,所得税が考えられますが,以下のとおりの債務免除・免責に伴う課税問題は生じないことになります。

1 債権者が法人の場合

 ⑴ 贈与税

   法人が,個人の破産者に対し,債務免除(債権放棄を含む。)をした場合又は破産者が免責を受けた場合,贈与税については,相続税法  21条の3本文・同第1号が「法人からの贈与により取得した財産」の価額は贈与税の課税価額に算入しないとしていることから,非課税となります。

 ⑵ 所得税

   所得税法基本通達36-17は,債務免除益の特例として,「債務免除益のうち,債務者が資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難であると認められる場合に受けたものについては,各種所得の金額の計算上収入金額又は総収入金額に算入しないものとする」と定めています。

   個人の破産者は,通常資力喪失状態にあるので,所得税も課税されないことになります。

2 債権者が個人の場合

 ⑴ 贈与税

   贈与税については,相続税法8条本文が,「対価を支払わないで,又は著しく低い価額の対価で債務の免除を受けた場合においては,当該債務の免除を受けた者が当該債務の免除に係る債務の金額に相当する金額を当該債務の免除をした者から贈与により取得したものとみなす」旨を定めています。

   しかし,同条ただし書は,「債務者が資力を喪失して債務を弁済することが困難である場合」に債務免除を受けたときは,贈与により取得したとみなされた金額のうち,その債務を弁済することが困難である部分の金額はこの限りではないとしており,個人破産者は,通常資力喪失状態にあるので,贈与税も課税されないことになります。

 ⑵ 所得税

   個人が,個人の破産者に対し,債務免除(債権放棄を含む)をした場合,上記所得税基本通達36-17により課税されないことになります。

 以上は,債務免除・免責にともなう課税関係に限定したものです。

 住民税や,消費税の扱い等,破産手続きに伴う税金問題は,そう単純ではありません。

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