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刑事手続きにおける略式手続きの概要

1 略式手続(略式命令)とは、罰金・科料で終わる簡易な刑事手続です。
 公開法廷での審理(正式裁判)を行わず、検察官が提出した書類だけで簡易裁判所が審査し、100万円以下の罰金(または科料)を科す手続です。裁判所に出頭する必要がないのが大きな特徴です。正式裁判で言い渡されるのと同じく有罪判決と同じ効力があり、前科として扱われます。ただし、拘禁刑の可能性はありません。

 
2 略式手続(罰金)の具体的な要件
刑事訴訟法第461条などで定められている要件を満たす必要があります。
⑴ 簡易裁判所の管轄に属する軽微な事件であること
→ 事案が明白で簡単(自白事件が多い)。
⑵ 100万円以下の罰金または科料を科すのが相当であること
→ 法定刑に罰金刑が定められている罪に限られる(実際に科す刑が100万円以下)。
⑶ 被疑者が略式手続に同意していること
→ 検察官から「略式で進めますか?」と聞かれ、書面で同意する。罪を認め、争わないことが前提です。
⑷ 簡易裁判所が「相当」と判断すること
→ 事案が複雑・争いがある・量刑に異論がある場合は却下され、正式裁判に移行します。

3 特に多い罪名
⑴ 道路交通法違反
 速度超過、酒気帯び運転(軽度)、無免許運転、信号無視など。
 
⑵ 窃盗罪(特に万引き)
 初犯・少額のもの。
 
⑶ 暴行罪(刑法208条)
 ケンカで殴ったがケガが軽い場合。

⑷ 傷害罪(刑法204条)
 軽いケガで示談が成立している場合。

⑸ 迷惑防止条例違反**(各都道府県)
 痴漢、盗撮、迷惑行為など。

⑹ その他
 過失運転致傷罪(交通事故で軽傷)
  銃刀法違反(軽微な刃物所持)
 不法投棄(ゴミの不法投棄)
 公然わいせつ罪 など
 
4 略式手続にならない・なりにくい罪名
⑴ 罰金刑自体がない罪(詐欺罪、不同意わいせつ罪、強盗罪など)
⑵ 重い事件(被害が大きい、常習性、前科がある、否認している)
⑶ 100万円超の罰金が妥当な場合

5 手続の簡単な流れ
⑴ 検察官が被疑者に「略式手続に同意しますか?」と確認(同意が必要)。
⑵ 検察官が簡易裁判所に略式命令請求をする。
⑶ 裁判官が書類審査 → 略式命令(罰金金額を記載した書面)が自宅に届く。
⑷ 告知から14日以内に正式裁判の請求をしなければ確定。正式裁判の請求は検察官もできる。
⑸ 確定後、指定期限内に検察庁に罰金を納付。
→ 法廷に出頭する必要は一切ありません。
 
6 まとめ
 略式手続は罪を認めていることが大前提です。少しでも不安や争いがある場合は、弁護士に相談して正式裁判を検討するのも一つの選択肢です。なお、十分に理解しないまま略式手続きに同意してしまった場合に、不起訴処分を得られることも、場合によってはあることも知識として知っておいて損はないでしょう。