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輸出免税の趣旨と仕向地主義

 消費税法7条は、輸出される物品や国外で提供されるサービスの消費税を免税する、いわゆる輸出免税の制度を規定しています。

 消費税は消費者が負担するべきであることから国内で消費されない輸出される物品に課税する根拠がないこと、生産地国と消費地国の双方での課税(二重課税)を排除し輸入国である仕向地の製品と同じ条件での競争を可能にするという国際的中立性を確保する必要があると考えれば、国内で発生した消費税の負担の調整及び税抜きでの輸出という国境税調整が必要となります。

 消費税の税額計算において、輸出免税の対象となる課税資産の譲渡等の対価の額は課税標準に含まれない(消費税法45条、同法7条)が、輸出免税の対象となる課税資産の譲渡等のための仕入税額は仕入税額控除の対象とする(消費税法30条)、いわゆるゼロ税率の採用が求められることになります。

 一方で、源泉地主義のもとでは、輸入品と国産品との価格競争力が各国の税率に左右されることになることから、中立性に疑問が残ることになります。

 結論として、消費税法は、物品やサービスの輸入国(仕向地国)に課税権があるという仕向地主義を採用していることなります。